御岳山へ行こう
「今年、御岳山の紅葉みたっけ?・・・見ておらんので、見てこーよう!」
そんな私の独りオヤジギャグも、町ではこだましてくれない。最近こだま不足だと思う。
…そうだ、山へ行こう。
私は、登山と夜逃げ兼用のリュックを背負い、自転車に股がった。とりあえず駅まで行こう。そうすればきっと、進むべき道が見えてくる。
そうしてペダルを漕ぐこと、約2時間半。私は、駅へ到着した。
御岳駅。
御岳山へ登るには、この駅が便利だ。
そのとき気がついたことがある。いきなり現地の駅へ来てしまったら、電車に乗れないではないか! 思えば、駅に来たこと自体に全く意味がない。便利でも何でもないよ。
こんなウッカリ屋さんの私は、きっと最近疲れているんだ。…そうだ、疲れている。だってもう脚がパンパンで動かないんだ!
癒しを求めて山へ
山はきっと、この疲れた私と、私の脚を癒してくれるだろう。ここから徒歩で山へと向かう。
その前に、多摩川上空より写真撮影だ。
川沿い左の木々奥の稜線手前から(たぶん)、日の出山、御岳山、大塚山。その奥(正面)はわからない。きっと奥だから奥多摩だ。
川沿いを歩く。紅葉は始まったばかりのようだ。それでも多量の木の葉が舞い、降った木の葉が薄い氷のように川面を流れる光景も見られた。
川を後にし、麓の大きな鳥居を潜ると、徐々に上り坂となっていく。脚がつりそうだが、何とか持ちこたえていた。
魅惑なるケーブルカー
ケーブルカーの滝本駅まで辿り着いた。ここから山頂付近まで行けるケーブルカーはとても便利だ!
しかし思うのだ。
ここまで電車やバスや車で来た人が、ケーブルカーに乗るのは頷ける。だが自転車と徒歩で来ておきながら、ケーブルカーはないだろう。どこか美しくない。どうせなら最後まで美しく飾り、美しく散りたいと思うのが人情というものだ。(最後か?!散るのか?!)
「縄に繋がれて登るなんて、オレはごめんさ! 自由万歳!!」
自由を豪語する私の足取りが、かなり不自由なのは気のせいか。ケーブルカーから不自然に顔を背け、よたよたと山道へ向かう私は、美しかった…のか。
出迎えてくれるのは、石の鳥居、イチョウとスギの大木。ここから本格的な登りとなる。
山、真っ最中
ひたすら登る。御岳山は主に杉山だ。調子がいまいちで、気をつけている歩き方も崩れて道中がとても長く感じた。
今回印象的だったのは、落葉だ。
木の葉が吹雪のように舞い、ときには人の顔ほどの大きな固い葉がガッサガッサと落ちてくる。何だか楽しい。
時折強い風が吹くと、遠くの山々は霧吹きのように木の葉の粒を吐き出し、舞い上げる。それはチラチラ瞬く金色の粒となり、のんびりと山へ沈殿する。
登りは一段落。
ひとまずケーブルカーの上の駅である、御岳山駅へ向かう。ここは見晴らしが良い。しばらくお弁当を食べて過ごす。
麓を望む。
山と山の間の灰色部分が、多摩川に沿った町並み。そこを自転車で来た。一番手前の町並みがおそらく御岳駅近くで、川から写真を撮ったところ。蛇行しながら右上へたどり、右画面外の地平線の彼方(次の写真の山の裏方向)が自宅の方かな。
日の出山を望む。
ぼちぼち紅葉してる。霞み気味だった。
ちなみに景色を見ながら帰りのことを考えてはいけない。…と思うと、余計に考えちゃったりする(汗)
…どう見ても無理でしょ、帰るの。
…まぁ、いいや。(いいのか?!)
とりあえず山頂まで登ろう。あと一踏ん張りだ。
途中で、大塚山を撮影。奇麗だったけど、過去に撮った写真の方が紅葉してたなぁ。
とうとう登頂
ついに山頂の御嶽神社へ到着!
山頂まで、参ったぞ~っ! いや~、足が痛すぎる。流石に参った参った。山頂へ参って、参っているところだが、もうひと参り…と。
神社で、お参り!
「どうか神様が幸せでありますように・・・」(-人-)
この願いを神様が叶えるとしたら、神様は自ら神頼みするのか、自分で頑張ってみるのか??…といいつつも、神様が神頼みする姿はどうにも適わんなぁ(笑)
後は、帰るだけ。
「だけ」といってもね…。「だけ」だから、とってもつまらなくて、なぜか行きより遠く感じて、なぜかいつも向かい風で、何故か1つずつ赤信号にひっかかって…、すぐ暗くなって、寒くて、寂しくて、疲れてて、辛くて…。
でもね、歯を食いしばって、頑張って、それを乗り越えた先にあるのは・・・
・・・普通に自宅があるだけだよ。ハハハ。
さて、来た道を下り、自転車に乗り、私は散らずに無事(?)帰宅した。
息絶え絶えの私は思う。こんなバカげたことをしている私は、頭がおかしいのではないかと。しかし、体の方がもっともっとおかしくなってるので、もうどうでもよくなって、飯を頬張り、風呂と布団に倒れ込むのだった。
めでたし、めでたし。
おめでたし。
最後に、御岳山のお土産屋さんの通りの写真。
御岳山は、山の上に町がある。神社を守る人々が住むという。歴史を知ると面白いかも知れない。
今回の写真は一眼レフではなく、フジのコンデジF710(未だ現役!)で撮ったよ。
最後まで読んでくれてありがとう!
あ~、しまった!!
こだまのことを忘れてた。こだまが聞きたかったのだ。私のこだま不足はまだまだ続く・・・
おしまい