トップ > 生活 > 2003.4.19. 反戦デモに参加(4)
World Peace Now 4.19

戦争が始まり1ヶ月が経過する。
すでに米軍はイラクのほぼ全土を制圧している。


2003年4月19日
東京の代々木公園で開催されたデモへ行った。

反戦デモに参加(4)
※読んでいない方は 反戦デモに参加(1)からどうぞ。



これで4回目の参加となる。
参加への気持ちは今も続いている。


今回の戦争に全く納得できない思いは、未だ変わらないということだ。



開催地は、前回と同じ代々木公園。


人はたくさんいる。だが、いつもと比べると確実に少ない。戦争終結という雰囲気の報道がされているからだろう。


実際はまだ続いている。



<反戦デモとその仲間たち>

 今回は掲示板でお馴染みの、sコアラさんと一緒に参加した。彼女は反戦デモには初参加とのことだ。
 更に、家を出て最寄りの駅に向かう途中、またまた悦子おばさんと遭遇(3月8日のデモでも遭遇)。悦子おばさんも、3時頃にデモに参加する予定だという。現地で会えるかもしれない。



会場とコースは前回と同じ。違うのは天気!(笑)



たくさんの人が集まっている。近くでアースディ(地球の日)のイベントもやっていた。



毎回見かけた「ええじゃないか隊」。ご苦労様です。


人は多いのだが、いつもより密度が少ない。


並ばずにいると、スタッフ数名が近寄ってきて、しばらく一緒に話をすることになった。


<ある女性スタッフにみた、戦争の影響>

 デモは始まっていたが、しばらくsコアラさんと列の外に座っていた。するとWorld Peace Nowの若いスタッフ数名が近寄ってきた。参加者との交流や意見交換をしているとのことだった。
 私の隣には1人の女性が座って話しかけてきた。戦争を止められなかったこと、資金も厳しく今後の活動が続けられないかもしれないといった話だ。彼女は、私にポツポツと質問しては黙り込んでしまう。何だか変な雰囲気なので、わざと黙って私に喋らせようとか、勧誘でもしてくるのかと勘ぐってしまった程だ。しかしそうではないと確信したのは随分と後で、今ではそれが非常に残念だ。当初、私は彼女からインタビューを受けている気分だったが、むしろ私が聞き役になるべきだったのだ。
 彼女は3月8日からスタッフとして参加しているとのことだ。回数は私と同じだ。スタッフというと、初回から当然のごとく参加するような集団だと思っていたが、考えてみればボランティアで一般の方々がやっているのだ。デモに対する志は高いかもしれないが、普通に傷つく人たちでもある。
 反戦デモで戦争が止められなかったこと。バグダット陥落とイラク国民の混乱、略奪。戦争終結を感じさせる報道、または無報道。感心が薄れ、忘れ去られること。人々の無関心。デモ参加者の減少。自分の活動は何だったのかと呆然とすること。幾層もに重なる無力感。
 私などは真面目ではないので、反戦デモが今回の戦争を止められるとは思っていなかった。だが黙ってはいられなかったのだ。またこれはもっともっと時間の掛かることだ、という思いで挑んでいる。しかし、初めからスタッフで参加した彼女らの意気込みと若さ、それに対する結果の無力感はそうとうなものだったかもしれない。一言喋るごとに何か考え込んでいる彼女。これも戦争による1つの影響だといえるだろう。彼女が無力感や矛盾を乗りこえて早く戦後復興して欲しいと願います。フォローしてあげられなかったことが残念です。
 彼女に限らず、同じような思いをした人たちの、その無力感はこの先どうなるのだろう。平和の種となり、いつの日か発芽するだろうか。それとも効力感を求め、予想外の方向へ反発するのか。
 無力感に限らず、今日の不況、世の中の悪さなど、鬱積した負の感情はいつの間にか1つの方向へ合わさってしまうかもしれない。国外にそれ以上の悪役を探し求め、国内に痛快な言説の独裁政治を生み、支持してしまうかもしれない。そんなことあるはずはないと私は思いたいが、そんなことあるはずがない民主主義の某大国ですら、暴走しているようにしか思えないのだ。ともかく、私たち一人一人がよく考えて見極めていかねばならない。


ピースウォークが始まり、列がみるみる減っていく。今日はかなり進行が早い。人が少ないのは非情に残念だ。



「えぇっ!今日はもう終わり!?」
スタッフ数名が声をあげた。最後の列が出発するところだった。みんなで走って列に加わった。



<悦子おばさん、ピンチ?!>

 悦子おばさんは予定を早め、すでに家を出ているとのことだった。しかし到着前に終わりそうなほど進行が早い。sコアラさんとギリギリまで待つことにした。だが、あれよという間に最後の列が出発してしまったのだ。そのとき、悦子おばさんから駅を出て公園へ向かっているとの連絡があった。しかし非情にも、私たちは最後の列に加わり歩き出したのだった!! (^_^;)>
 悦子おばさんは、果たして追いつくのか?!




ピースウォークは、列の末端。
スタッフの方々と一緒であったが、後続がいないのがなんとも寂しい。



その場のかけ声に、私はちょっと馴染めず。
sコアラさんもあまり馴染めていないようだ。




前はにぎやかだが、後続がいないので寂しかった。


ついに悦子おばさんと合流!
悦子おばさんはとにかく頑張っていらっしゃいます。頭が下がります。



人の間を縫うようにして、前列へと進んだ。

<悦子おばさんと合流!!>

 ピースウォークが始まってすぐ、列が動かなくなった。後ろを振りかえると、手を振っている悦子おばさんが見えたのです。なんと直筆メッセージのTシャツ姿!ついに
無事合流。ご一緒できて良かったです!
…しかし予定通り3時に来たら終わってましたね。



<問題として感じたところ>

 また特定の人の話になりますが、最初近くにいた男性がとても熱心にかけ声の音頭をとっていました。本人はとても頑張っているのですが、かけ声の内容とアピール方法に問題を感じました。内容は「バナナを守ろう!」「オランウータンを守ろう!」「降り注ぐ太陽が好きだ!」などインパクトを狙ったものでした。路線を間違えているようですが、結局は「…戦争はそんな世界を壊してしまうので、平和を守っていこう」というようなかけ声が結論となる内容です。
 かけ声に賛同する人たちも喜んでいる人は多かったです。しかし私には、デモの外の人たちが客観的にどう捉えるのか、という点で引っかかりました。デモの外の人たちが、私たちとすれ違うのは短い時間です。つまり、平和を守ろうという結論の部分を聞かない人たちには、ふざけたセリフにしか聞こえないだろう、ということです。セリフの多さからも結論の部分に出合う確率は低いのです。
 本人に悪気がないのはわかります。かなり熱心な方で、地声で音頭がとれる程の人物です。ただ、かけ声を部分的に悪く引用されたり、マスコミなどに揚げ足をとられないように注意する必要を感じました。やるなら「バナナを守ろう!」など1セリフ毎に、「戦争を無くし、そんな世界を守ろう」というような結論のかけ声を入れた方がいいだろうと思いました。
 またフォローのような話になりますが、何回かデモに参加してみて、真剣にやっているとかなり疲れることに気づきました。無力感を感じる機会も多いのです。最初、楽しむことは少し間違っていることではないか、と思っていました。しかし今では、楽しむことも必要不可欠だと思っています。正直そうでなければ、続けて参加することがきつくなります。エネルギーのいることなのです。
 そういう意味では、彼のような人物は貴重な人材だと思うのです。それに私がかけ声をあげても、あれほど賛同する人はいないでしょう。その点では感服です。ただ、もう少し客観的視点を取り入れてアプローチして欲しかった。そこが残念。

 もう1つ、参加中に問題として感じたことは、意外にみんなバラバラだということです。ちょっとショックだったのは、スタッフさえもバラバラなのです。リーダーがいないという感じです。もちろん私が見たのは一部分であって詳しくは知りません。しかしながら後で、これは仕方のないことかもしれないと思いました。スタッフでも打ち合わせに参加する方はごく希でしょう。やはりボランティアが大部分で、ぶっつけ本番だと思われます。
 戦争を止めたいほどの理由であっても、人間がまとまることは難しいことだと感じました。サッカー観戦のようにはいかないのですね。



場所を変えることを提案し、しばらく早足で前列へと進んだ。



心なしか今日のデモは盛り上がっていない気がする。場所によって違うだろうが、全体的にはどうだったのだろう。





今回は雨が降らなくて良かった(笑)



平均年齢が高い列は、大人しいということか?!



どこかの労働組合に紛れ込んだ。
ここは、かけ声が複雑でやりにくかった。



今日のデモは参加している手応えを感じにくい。せっかく初参加のsコアラさんがいるのに残念だ。





こういうのわざわざ作って着るエネルギーって実は凄いと思う。


悦子おばさん(左)と、sコアラさん(右)




拡声器でのかけ声が止んだ。もうゴールは近い。
とうとう自分たちで、かけ声をあげることにした。



「戦争反対!」の声を、悦子おばさんとsコアラさんと私で交互にキャッチボール。



なんとか最後に手応えを感じることができました。悦子おばさん、sコアラさん、お疲れさまです。



個人的になかなか納得できないデモではあったが、代わりに色々と考えさせられるものがあった。




今回のデモの参加者は、主催者発表で1万人とのことだ。大雨の前回よりも人数が減っている。やはり戦争終結を思わせる報道の影響が大きいのだと思う。
バグダットも陥落したと伝えられ、これから戦争と反戦デモはどうなってゆくのだろう。実際に早く終結することを望みます。



いつも私は1人寂しく歩いているので、仲間がいると嬉しいです(笑)



私です。終わって帰るところ。




戦争に
反対します



恒例の自分なりのまとめ。


<私の見解>

 バグダットが陥落したときの映像を思い出す。フセイン像が倒され、イラクの人々が喜んでいる姿。あの映像をみて私の心は少なからず動揺した。例え、あの映像にアメリカの作為があるだろうと予測していてもだ。それ程に、映像には力がある。
 カメラはフレームの中しか映らない。故に、映したいものだけを切り取ることが出来る。それがそのまま印象となる。
 戦争が始まってすぐ、イラク兵が投降している映像が流された。歩いてくる投降兵が、誠にきっちりとフレーミングされ、正面からローアングルで映されている。カメラに向かって歩いてくるのだ。映画のシーンのようだった。また、膨大な投降兵が捕虜になっているとの映像は、カメラワークの範囲とチラチラと映る端から察するに数十人しかいない。カメラの性質を全く知らない人がみたらどう思うのか。おそらく、付けられたコメントを信じるしかないだろう。この投降に関してはあとで嘘であることがわかった。
 バグダット陥落の映像が撮られたとき、その広場にたくさんのイラク人がいたが、ほとんどは傍観していたという。星条旗を振るイラク人はどこでそれを手に入れたのか?とはよく言われることだ。映像から得られる印象は、必ずしも現実と一緒ではないことを心得ておきたい。

 なぜに、アメリカの揚げ足をとることを私はいくつも書くのか?それはこのような情報操作はとても危険であると考えるからだ。前回、先制攻撃は危険であると主張したが、その先制攻撃という戦争にアメリカ国民を導いたのは、このような情報操作だと思っている。

 アメリカでは、反戦意見をこき下ろすテレビ報道に人気があったという。私はこう考える。
 人間の考えとはそれほど固定されたものではない。直接経験したことでなければ尚更だ。戦争を支持しているアメリカ人の多くでさえ、戦争に対して迷いがあるはずだ。戦争自体は決して良いことではないとわかっている。重大な事柄であるからにして、潜在的に心の葛藤や罪の意識も大きくなる。それはエネルギーのいる辛いことなのだ。
 だからこそ、それを痛快に打ち消してくれる番組に人気が出るのだと思う。自分の中の葛藤を打ち消してくれて、深く考える必要もなくなるのだ。ただ感情にまかせていればいい。テレビが鬱憤を晴らしてくれる。鬱憤が晴れたという快感には、それが正しいことなのだと錯視させる力がある。次には逆に、人が生活の中でテレビの代弁をしだす。あたかもそれが自分の考え抜いた答えであるかのように。

 9.11のテロでアメリカ国民の感情に火がついた。集団的にとても感情が敏感になったのだと思う。その感情のエネルギーは、ブッシュ政権に上手く戦争へと利用された。民衆心理がコントロールされてしまう民主主義は、独裁政治と同じ側面を持っていないだろうか。
 僕は今のアメリカのブッシュ政権は、戦犯として、国際法廷で裁かれるべきだと思っている。今回の先制攻撃は、その大儀とされた大量破壊兵器も未だ見つからず、どう考えてもこじつけで始めた戦争でしかない。イラクのフセインとともに裁かれればよいと思う。小泉首相も、戦争を支持した経過についてまともに説明をして欲しい。

 もうすぐ戦争は終わるのかもしれない。今後、反戦デモに参加できるのかわからないが、この問題について文章にする機会をつくりたい。

高橋逸人



普通の人の、普通の無関心が、実は恐いのだと知った。それを実感した。

「無関心は罪である」…この言葉は、確かに1人1人の心に届くことがあるかもしれない。

だが、責任を感じなくて済む集団の中におかれたとき、この言葉は如何に無力だろうか。

今も何処かで、不条理に見捨てられる人たちがいる。

見捨てたことへの責任は、無関心という大集団で割られ、1人1人にとってはゼロに等しくなる。

責任は無いに等しいのだ。

それが本質だとしても、それでも「無関心は罪である」と突き進むことが出来るだろうか。

そんなに大げさなことは出来ない。ほとんどの人にとって良策ではないだろう。

私は、人間は責任などと関係なく困っている人を助けることがある、と知っている。

純粋に、大丈夫かな?と感心を持つことがあるのも知っている。

そして今、私が出来ることは、こうやって言葉の種をパラパラと蒔くことくらいなのだ。



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