長い長いへびのお話
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佐々木 悦子 著
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あるところに一匹の長いへびがおりました
が、それがあんまり長いものでから、まだ一
度も自分をおしまいまで見たことがないこと
に気づきまして、そうなると急に自分のしっ
ぽに会いたくてたまらなくなり、くるりと回
れ右をして、自分の脇腹にそってシュルシュ
ル、シュルシュルとはっていきますと、七日
七晩かかってようやく自分のしっぽが見えて
まいりましたから、それはもううれしくなっ
て、「やあやあこんにちは! 君がぼくのし
っぽかい?」と呼びかけますと、しっぽのほ
うは、見たこともないへびが、なれなれしく
近寄ってくるので、すっかりこわがっていき
なりへびの頭をたたきましたから、へびの頭
はすっかり憤慨して、「ぼくのしっぽがこん
なに性格が悪いやつとは知らなかった! し
つけをしてやらにゃいかん」と言いながら、
思いきりがぶりとしっぽにかみつきましたと
ころ、しっぽはぐったりとのびてしまいまし
たので、へびの頭は溜め息をつきながら、ま
た回れ右をして、来た道をシュルシュル、シ
ュルシュルはっていきましたところ、七日七
晩たったとき、急に腹の下の方から鋭い痛み
がおそってきて、ぐったりのびて死んでしま
いましたとさ。 |
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